一条工務店の基礎作り ~配筋検査立会い②~

はじめに

一条工務店の『グランセゾン』を2020年6月に着手承諾した”たんどり”です。

今回は前回に引き続き、基礎工事の配筋検査に施主として立ち会った話の続きを書きたいと思います。素人目線のレポートではありますが、皆様の家づくりにおいて、配筋検査に立ち会う場合の参考としていただけたらと思います。

前回の記事はこちらからどうぞ。

配筋検査の結果(続き)

『配筋検査の結果』と書いてはいますが、あくまでも素人目線で私が確認した確認方法と確認結果です。監督さんは監督さんの目線で別途検査をされていますので、その点ご了承ください。

立上げ部(横・上)のかぶり厚4cm以上が確保されているか

前回記事で確認した底盤の下のかぶり厚は6cmが建築基準法上の最低基準でしたが、立上げ部の横と上のかぶり厚は最低基準4cmです。

一条工務店のベタ基礎は底盤と立上げ部を別々に施工する2回打ちですが、底盤のコンクリを打った段階で立上げ部の位置も決まります。底盤に固定された鉄筋が立上げ部に伸びるためです。

このため、配筋検査段階で立上げ部のかぶり厚確認もしっかり行っておく必要があります。

かぶり厚の確認状況

立上げ部の横は、赤い矢印を参考に見ていただくと約8cmのかぶり厚が確保されています。

こちらの画像では、底の方から斜め上に伸びている鉄筋があるため、7cm強のかぶり厚です。

立上げ部のスペーサー

先程から写り込んでいるグレーのプラスチック製パーツが一条工務店さんの横取付用スペーサーです。取付けた縦の鉄筋から8cm程度のかぶり厚を確保するためのスペーサーのようです。

このパーツは一条工務店さんのオリジナル部材だと思われます。この形であればコンクリ流し込み時にも邪魔にならなそうです。

出典:株式会社ワタナベ産業

通常はこんなドーナツと言われるスペーサーや、ヒトデのような形の星型スペーサーが使われるようです。

ドーナツ形のスペーサーは底盤と水平に設置せず(縦筋に付けず)、縦に設置する(横筋に付ける)よう推奨されていますので、現場でドーナツ形のスペーサーが使われている場合はご注意ください。これは、水平に設置するとコンクリが流れ込みにくく定着しにくいためです。コンクリを流し込む前にスペーサーを外す場合はどちらでも構いません。

立上げ部のスペーサーは後で外すか埋め込むか

監督さんに、このスペーサーはコンクリ流し込み時に外すのか確認しましたが、外さずにそのままコンクリ内に埋め込むとのことでした。

前回の記事では底盤用スペーサーにかぶり厚が関係ないのかという疑問を書きましたが、この横スペーサーについても同様の疑問がありました。

外さないのであれば、スペーサーのかぶり厚が4cm未満となることは明らかです。この場合、コンクリの薄い箇所からヒビ割れ等が発生する懸念は無いのでしょうか。

スペーサーを外さないことによるデメリット

少し調べてみると、ドーナツ形のスペーサーについては、やはり形状が複雑であり空隙ができやすく、コンクリートとの熱膨張率の違いもあるため、コンクリ内に埋め込んだ場合にヒビ割れの原因となる点が指摘されていました。ヒビ割れが起こると、ヒビから浸水し、本来アルカリ性のコンクリートが中性化し、鉄筋の錆に繋がり爆裂する可能性が有ります。

このため、以前は国土交通省『土木工事共通仕様書』においても、「コンクリートの打上りに伴い、不要となったスペーサを可能なかぎり取除かなければならない」旨の記載があったようです。(最新の同仕様書では同様の記載が確認できませんでした)

このドーナツ型の弱点を克服するべく開発されたのが、星型スペーサーだそうです。シンプルな形状と適正な熱膨張率により、コンクリのヒビ割れの可能性を軽減したそうです。

このような商品の登場もあって、最新の同仕様書からは、スペーサー抜き取りに関する記述がなくなったのでしょうか。(素人の想像です^^;)

ただ、それでも星型スペーサーの施工手順においては、『コンクリート充填後にスペーサーを抜き取る』こととされています。

一条工務店さんのスペーサーは、形状的には星型よりも更にシンプルです。熱膨張率は不明ですが、恐らくこの辺も考えられた商品だと推察されます。よって、基礎コンクリ打設時にもスペーサーを抜かない理由は、このスペーサーであればコンクリ強度に悪影響が無いと判断しているからかなと、素人なりの想像で前向きに捉えてみます^^;

ということで、基礎立上げ部にスペーサーを埋め込む施工は、推奨はされないものの一般的に行われている施工であり、一条工務店さんのスペーサーは埋め込んだ際の影響が小さい(と思われる)特殊な部材であるため、特段問題無いんだろうと考えました。監督さんが問題ないと言っていますので、信じたいと思います。まぁそこまで気にしなくても良さそうですね^^

基礎用のセパレーター

これもスペーサーと似たような話です。現場を見る中で気になったので、その場で監督さんにも確認しましたが、問題ないという話でした。が、やはりちょっと気になったので改めて調べてみました。

上の画像の赤い○青い○の金具です。型枠に沿って家の全周に設置されています。

赤い○の金具は基礎用セパレーター

調べてみると、赤い○は基礎用セパレーターという金具のようです。捨てコンに固定され、コンクリを流し込んだ際に型枠がずれてしまうことを防ぐ目的で設置されていると思われます。

青い○の金具は・・・セパレーター?

青い○の金具は調べてみても分かりませんでした。9/3にコンクリ流し込みを見学に行きましたが、この金具は、しっかりと基礎底盤のコンクリに埋め込まれていきました^^;

別の画像から、このパーツのみ拡大してみました(ピントが合っていません^^;)。分かりにくいですが、パーツの右の方に、何かを掴むためのツメが画像上向きに付いているように見えますが、そのツメは使われていません。右の方は基礎立上げ部の型枠ですが、型枠と型枠の継ぎ目に、このパーツがセットされていました。

非常に気になったので監督さんに確認したところ、後で外側を折るので問題ない、かぶり厚とは関係ない、他の現場でも同様の施工であるとの回答でした。

このパーツは錆止め加工はされているかもしれませんが、見た感じ錆びそうな材質であり、型枠を外した際は、外に飛び出た部分が折り取られるとは言え、パーツの一部が外に露出します。・・・将来的にはここから錆が入り基礎コンクリ内で爆裂(浸水→中性化→錆→爆裂)しそうな予感がします。ネット上で検索するとベタ基礎のセパレーターが原因でこのような基礎の劣化が多数報告されています

監督さんが言うように、基礎のかぶり厚は、鉄筋と基礎表面の間の距離を言うのでしょうが、こういった金具についても基礎の将来的な強度に与える影響が大きそうな気がします。

赤いのセパレーターは基礎底盤の底に付けられていますので、影響は小さいかもしれませんが、青いの金具は基礎底盤の上下方向の中央付近に取り付けられており、錆びてしまった場合は基礎強度に少なからず影響がありそうです。

青い○の金具は基礎底盤のコンクリに埋め込まれますので、基礎底盤と型枠を固定して、立ち上げ部のコンクリ流し込み時に型枠がずれるのを防ぐ目的なのでしょうか。このツメは型枠に殆ど接していますので、型枠を外したあとは、このツメが基礎底盤の外側から見えてしまいそうな気がしますし、その周辺のコンクリは非常に薄いのでボロボロ取れて、青い○の金具が剥き出しになりそうな気もします。

実はこの記事を書きながら更に心配になってきたので、改めて営業担当さんへメールで確認しました^^; 少し投稿間隔が空いたのは営業担当さんの回答を待っていたためです笑。

青い○の金具はこちらの商品の新型でした。新型の方の施工方法が書かれた資料も提供いただきましたが、ネット上では公開されていない資料のようですので掲載は控えます。

資料を確認したところ、型枠の厚み等について若干気になる細かい点も有りますが、メーカー説明資料でも概ね同様の施工を想定しているようでした。営業担当さんからも、メーカーの想定している施工であること、日本製鉄のZAMという高耐食性(錆びにくい)の素材が使われていること、最終的に基礎立ち上がりの外周部には左官業者による塗装施工を行うことから、問題無い(正しい施工である)との回答をいただきました。

個人的には、基礎内に埋め込む金具はやはりもっとシンプルなものの方が安心なのですが、仕方ないので納得することとします^^;

防湿フィルムの重なりは十分(15cm以上)か、大きな破れは無いか

上の画像をよく見ていただくと、水色が濃くなっているところが分かるかと思います。この濃い部分が、防湿シート同士が重なっている部分です。

シートの重なりは、鉄筋のマスのサイズが20㎝四方ですので、これと見比べると大体分かります。概ね20cm程度は重なっているようです。全体的に15㎝以上の重なりは確保されているようでした。

ちなみにこちらの画像では、基礎の端まで防湿フィルムが貼られていません。これはここが深基礎部分であるためです。これから打設する基礎底盤コンクリートの下は、湿気が上がってくる地面ではなく、深基礎のコンクリートですので防湿フィルムは不要ということです。

水道等の配管周りに補強筋が有るか

水道の配管は検査当日の設置だったので、この項目は未検査です。監督さんに確認したところ、スリーブ回りはしっかりと補強を行う予定とのことでした。基礎工事報告書において写真により確認予定です。

私は水道屋さんが帰った後に再度現場を訪問し、ちょっと確認してきました。水道屋さんの方で赤い○の所にD10の鉄筋を補強したようです。が、青い○の位置は何故か補強されていません。鉄筋の長さが足らずに諦めたんでしょうか^^;

翌日のコンクリ打設前に基礎屋さんの方でも補強するとの話でしたので、また報告書の写真で確認したいと思います。

水道等の配管同士が近い場合は配管径の3倍以上離れているか

先程の画像を参照ください。画像上側の太い配管は、明らかに配管径の3倍離れていません。こういった場合は、補強筋を入れることでカバーするとの監督さんのお話でした。

このため、水道屋さんは青い○の位置には補強をせずに画像奥側の赤い○の位置だけ補強したんでしょうか。補強筋は、鉄筋を切った所は当然補強した上で(鉄筋の重ね代も考慮が必要かと思います)、更に鉄筋を追加で補強するべきかと思います。よくある補強筋の形は、ひし形に配管を取り囲んでいるものです。

まぁこの辺の細かい所は、基礎屋さんの方でも対応したかもしれませんし、そもそもあまり気にしなくてもいいかなと思っています。

昨日時点で幾つかのアンカーボルトが斜めになっていたので修正する

アンカーボルトは、基礎底盤のコンクリには接しません。このため、基礎立上げ部を打設する際に設置していれば、それで問題有りません。

今回は、基礎屋さんが早めに設置したようで、基礎底盤を打つ前にホールダウン金物を取付けるための長いアンカーボルトが設置されていました。

概ねまっすぐ設置されていたのですが、遠目にも斜めになっているものがありました。立上げ部を打設する前に、残りのアンカーボルトを設置していきますので、その際に修整されるのかもしれませんが、ちょっと心配です。一応、監督さんになるべく真っ直ぐ施工するよう依頼しておきました。

監督さんが言うには30度以内の傾きであれば施工上は問題無いとの話でした。30度も斜めになってたら見た目もかなりヤバいので正直勘弁いただきたいんですが、そこまで斜めにはなっていないのでまぁいいやという感じです^^;

以前の記事でも紹介しましたが、アンカーボルトのズレは、アンカーボルトの先端が土台となる木材の中心1/3の範囲内に収まれば問題無いと思っていましたので、ちょっと基準が緩いのかなと心配になりました。

アンカーボルトの機能は土台と基礎を結ぶ紐のようなイメージですので、多少の傾きは機能的に問題無いと言われています。が、やはりアンカーボルトが綺麗に並んでいる基礎を見ると、いい仕事してるなぁと羨ましく思います^^

アンカーボルトの傾きについては、また立上げ部打設後に報告したいと思います。

その他の確認事項

地鎮祭で貰った鎮め物がちゃんと埋められているか

鎮め物は検査後に監督さんが埋めときますねと言っていたのでお任せしました。後ほど現地を再訪問した際に、鎮め物を見つける事が出来ました。ちゃんと忘れずに埋めてくれたようです^^

分かりにくいですが赤い〇のところです

捨てコンの厚みは本当に6cm程度有るか

図面では6cmの厚みとなっていましたが、前回記事でも書いたとおり、場所によっては明らかに6cm有りませんでした。一応、監督さんに確認したところ、構造への影響は無いので問題無いとのことでした。予想通りの回答です。ここであまり食い下がっても意味が無いので、了解しておきました。

ただ、捨てコンの厚み分も含めて施主側はお金を支払います。捨てコン6cm厚と書いた基礎図面をもって基礎業者へ発注しているはずです。捨てコンの厚みが構造に影響を与えなくても、工事の精度には影響があるはずです。そうでなければ基礎図面に6cmと書かれる意味が有りません。先程の基礎底盤の下に設置されたセパレーターについても、捨てコンが薄ければ型枠の固定が緩む可能性が出てきます。工事の精度が高ければ文句を言われる筋合いは無いというのは乱暴で、施主側からすれば少しでも精度を高めてもらいたい、そのために捨てコン含めて基礎図面があるんだろうと思います。

ちなみに前回記事でも紹介した、捨てコンがされていない箇所は、配管を通すため施工をしていないとのことでした。あまり見かけない方法な気がしますが、こんなものなんでしょうか。

深基礎部分と通常部分の境目の施工が不思議な件

こちらの箇所です。何故かコンクリが斜めになっています。頂いた範囲の基礎図面ではこのような施工指示は確認できません。監督さんにこうなった理由を確認してみましたが、良く分からないようでした^^;

図面上ではこの部分は画像左側と同レベルの深基礎の施工指示でしたが、それでは角の土が手前に零れてきて施工しにくいということで、赤い〇部分は後から深基礎を予定より深くしたのではなかろうかと想像しています。

ここは玄関ポーチが設置されて隠れる箇所ですので別に構わないんですが、この謎の施工は少し気になりました。

深基礎の養生期間

確認してみたところ、深基礎は養生期間を3日取ったとのことでした。コンクリの種類は確認していませんが、夏ですし3日位なら問題無さそうですね。

狙って3日としたのか、施工スケジュール上3日となっただけなのかは、良く分かりません^^;

深基礎のジャンカ

どの程度からジャンカと呼ばれるのか基準が分かりませんが、我が家の深基礎の一部はジャンカらしきモノが発生していました。

ジャンカは、コンクリートの打設不良の事例の一つ。 締め固め不足やセメントと砂利の分離、また型枠下端からのセメントペーストの漏れにより空隙ができ強度が下がり、脆くなっている状態を言う。 豆板(まめいた)と呼ぶ場合もある。

wikipedia

あまり深くは無さそうですし、幸いここは玄関ポーチが設置されるため特に気にしなくてもいいかと思っています。

一応監督さんにも、あれジャンカですよね?といやらしく聞いてみました。

監督さんは、深基礎部分だし、玄関ポーチが設置されるし、特に玄関ポーチの防蟻処理は他よりも強力(ポーチの周り全体に塗り込むとのこと)だし、と色々と言い訳説明をしてくれました。監督さんが言う通り、深基礎ですし玄関ポーチも設置される部分なので特段問題は無いと思います。

他の箇所は概ね綺麗にコンクリが固まっていました。

配筋検査に立ち会った感想

いやはや、前回に続いて今回も長くなってしまいました。確認すればするほど心配事が増えますね^^;

心配事があっても、最終的には一条工務店さんを信じて任せるしかないというのが、施主の立場の弱さを感じた点です。ただ、一条工務店さんの場合、標準仕様の基礎工事が、一般的な施工よりも強度が高く出るよう設定されています(基礎コンクリの厚み・鉄筋のサイズ・コンクリの質等)ので、現場施工において多少のブレがあったとしても一定の強度確保は期待できるという意味で、やはり安心して任せやすいハウスメーカーと言えるのかなとは思っています。

ここまで色々と素人目線の勝手な立場から好き放題書かせてもらいましたが、なんだかんだ言いつつ、今回の配筋検査においては、前回記事の冒頭で書いたように大きな問題は無かったかと思っています。

今後も基礎工事が続いていきますので、工事の進捗についてはまた随時紹介していきます。

それでは、またお会いしましょう^^

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