はじめに
一条工務店の『グランセゾン』を2020年6月に着手承諾した”たんどり”です。
今回は久々のオプション紹介シリーズとして、ダミーパネルを紹介します。あまり採用されている方が少ない(と思われる)ダミーパネルというオプションですが、我が家がこのオプションを採用した狙いを書いていきたいと思います。
また、採用目的の一つとして、日射制御という大きなテーマも有りましたので、日射制御の考え方と、我が家の日射制御状況も合わせて紹介していきます。
オプション紹介シリーズはカテゴリー『我が家のオプション』からご覧ください。
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屋根特殊施工(ダミーパネル) 24,700円
ダミーパネルとは、太陽光発電パネルの偽パネルです。発電機能は有りませんが、太陽光発電パネルと同じ見た目です。
太陽光発電を導入する場合でも、例えば屋根面積が広い方は屋根全体をパネルにすると15kWを超えるような出力規模となる可能性が有ります。余剰売電を選択する場合は、10kW分までしか売電出来ませんので、12〜13kWであればともかく、15kW以上ともなればロス率を考慮してもパネル代が無駄になります。
こういった場合に、屋根の一部をパネルではなくスレート等に変えると、見た目が変になる可能性がありますので、一条工務店さんではダミーパネルという選択肢を取れるようになっています。(私はそのように理解しています^^;)
ただ、このダミーパネルを屋根面積を増やすために利用することも可能です。ダミーパネル分、屋根面積が増えれば、その分は軒が伸びるという方法です。
このオプションは、グランセゾンのオプション表には掲載されていなかったと思います。設計士さんに『軒を伸ばしたい』と相談していた中で提案いただいたオプションです。
それでは、我が家がダミーパネルを採用した理由を語るために、まず、そもそもなぜ軒を伸ばしたかったのか、というところから紹介していきたいと思います。何か勿体ぶってすみません^^;
ということで、まずは狙いの一つ目である『日射遮蔽』について紹介します。
我が家の配置を含めて見ていきます。
ダミーパネルの効果 ~日射遮蔽~
我が家の配置
我が家は接道側が北で、南北に長い家です。
北側は日差しが弱いので日射遮蔽を考える必要はありません。
西側についても、西日を考慮して小さい窓しか付けていませんので日射遮蔽は考慮していません。
東側も同様に小さい窓のみです。
ということで、我が家が日射遮蔽を考慮したのは南側です。
1階の南側には大きな掃出し窓がありますし、2階の吹抜け上部分には採光用の3連FIX窓を付けています。
日射制御の基本的な考え方
日射制御はパッシブデザインの手法の一つで、要は夏の日差しを遮ることで、室内が暑くなるのを防ぎましょうという考え方です。
上の画像は「南面・東京」の条件で日射の状況を示した図です。夏は太陽の角度が上がり、冬は太陽の角度が下がります。この角度に応じた形で、窓に庇を設置しておけば、夏は日射を遮り、冬は適度な日射を取得できます。
それでは、日射を制御するための庇は、どのくらいのサイズのモノを付けるべきなのでしょうか。長過ぎると冬も日射を取得できずに寒い住宅となり、短すぎると夏場に日射を遮蔽できずに暑い住宅となります。
適切な庇の長さは上の画像に記載のとおり、窓の下端から庇までの高さを1とした時に、庇の長さ0.3が適切と言われています。
それでは早速、我が家の庇は適切な長さなのかを見ていきたいと思います。
我が家の日射遮蔽
前提条件
我が家の南側の窓はこんな感じです。
現在受け取っている図面には窓から庇までの高さが記載された資料は有りませんので、この立面図ベースで大まかに計測していきます。
1階掃出し窓のサッシ高さは7.3尺=221.2cmですが、この画像では5.3cm(重要な所が隠れていてすみません^^;)です。つまりこの画像で計測される長さを41.7倍(221.2/5.3)すると、概算ですが実際の長さとなります。
計測の考え方を示すために1箇所だけ計算過程を示します。上の画像では、窓下端から庇までの長さは6.1cmですので、実際の高さは6.1*41.7=254.4cmです。以下の記事で登場する庇までの高さは同様の方法で計算しています。
それでは、南側の各窓について個別に見ていきたいと思います。
LDKの掃出し窓
まずは①の窓です。この窓は、残念ながら庇が有りません。このため、オプションとしてパッドアイ(画像の「施-B」)を設置しています。
パッドアイは以下の記事で紹介していますが、窓の外にサンシェードを取り付けるための金具です。この窓は庇が無いので、夏はサンシェードにより日射を遮蔽する予定です。
和室の窓
続いて②の窓です。この窓は、1マス分の長さのパラペットルーフが庇となっています。
上の画像の左下の○です。庇部分の長さは104cmと記載されています。ただし、分かりにくいですが、この画像ベースでは計測範囲が内側に少し長くなっていますので、その分は差し引いて考える必要がありそうです。実際はパラペット1マス分の91cm程度の筈ですので、以降の記事でも、上の画像に書かれた数字から13cm差し引いた長さを庇の長さと仮定します。
先程計測した通り、窓下端から庇までの高さは254.4cmでした。つまり、適切な庇の長さは254.4cm*0.3=76.3cmと算出されます。
ということで、実際には庇が91cm程度ですので、庇が大き過ぎました笑。
ただここは①の窓の上から真っ直ぐ繋がるパラペットルーフなので微調整は出来ません。我が家は日本の南の方ですので、夏の暑さを防ぐ方が優先ということで問題無いと思います。
2階吹抜け部分の窓
上の画像の③の窓です。こちらの窓について計測してみると、窓下端から庇までの高さは171.0cmです。窓サイズが掃出し窓よりも小さいので、数字は小さくなります。
よって適切な庇の長さは171.0*0.3=51.3cmとなります。
ここで、この画像の左上を見ると、庇の長さは81cmと書かれています。先程同様に13cmを差し引くと、68cmです。ここは庇の先に雨樋も付いていますので、それも考慮するとちょっと庇が長すぎるかもしれませんね。
書斎の窓
最後に④の窓です。計測してみると、窓下端から庇までの高さは154.3cmと計測されます。よって適切な庇の長さは154.3*0.3=46.3cmとなりました。
この画像では左上の970と書かれた庇ですね。これまで同様に13cmを差し引くと84cmです。ここに至ってはかなり庇が長いです^^;
我が家の日射遮蔽まとめ
これまで見てきた通り、推奨される庇の長さよりも長くなっていました^^;
夏は涼しいですが、冬に寒い住宅と言えそうです笑。着手承諾前にも一応概算で確認していましたが、グランセゾンは全館床暖房なのでOKです^^
ダミーパネルの効果 ~軒の見栄え~
ダミーパネルを採用し、軒を伸ばしたかったもう一つの理由は、見栄えです。
深い軒の家って格好いいですよね。。。
グランセゾンはせっかく木目調軒天なので、できれば軒天が良く見えていた方が素敵かなと思い、ダミーパネルを採用し、北側の軒も南側の軒も両方伸ばしてもらいました。
我が家は幸い南側が広く、庭にしていますので、南側の軒が多少長くても空を眺める分には支障ないという好条件もありました。
ダミーパネル採用までの紆余曲折
我が家の軒の長さは最終的にこんな感じになりました。先ほどから登場している画像です。南側だけでなく、北側の軒も1マス分程度伸びています。
検討開始当初から軒を両方伸ばしたいという話をしていましたが、上がってくる図面は、こんな感じでした。
上の図面だと南側の軒が長く、北側の軒は短くなっています。
今度は逆に北を伸ばせば南が引っ込むという具合で、何ともうまくいきませんでした。
この軒の長さ調整がうまくいかない理由は、太陽光パネルの割付の問題らしく、太陽光パネル割付を行う部署が屋根の配置も調整するため、設計士さんに伝えてもうまく調整出来ない状況でした。
最終的にはダミーパネルも活用して、屋根面積を増やすことで、どうにか今の形に収まりました。
このため、日射遮蔽における適切な軒の長さ等は考慮されていない訳です。
一条工務店さんもパッシブデザインを取り入れて日射制御まで含めた家づくりに取り組んでくれるといいんですが、今の所は設備の機能面(窓の性能や冷暖房設備)に力が注がれている印象です。
このため、施主側が意識をもって日射制御を踏まえた設計となるよう依頼していくことが重要だと思います。
最後に
ダミーパネルのオプション料金は冒頭の見出しで紹介した通り、24700円でした。この価格で実質的に軒を伸ばせるということは、我が家的には有難い話でした。他ハウスメーカーと比べてもかなり安いと思います。
ちなみに、ダミーパネルの設置枚数は、一条工務店さんから太陽光割付図を入手すれば記載されていると思いますが、まだ貰っていませんので現時点では不明です。設置枚数次第でオプション料金が変わると思われます。
また、ダミーパネルは設置可能な枚数にも制限が有るようですので、必要であれば設計士さんに相談しながら検討されてみて下さい。
今回はダミーパネルのみの紹介となりました。次回はまた残りのオプション紹介を続けていきたいと思います。
それでは、またお会いしましょう^^
コメント
こちらを拝見させていただきすごく研究されているなと感心させていただいております。
屋根のことについてとてもバランスがよくきれいに作られているなと思いました。
実は私も一条で検討中です。
屋根の大きさで小さくするしかなく大きくすると軒の補強などでオプションが
うん十万もかかりますと言われております。
たんどりさまの体験記では24,700円で大きくなったとありますが、
太陽光ダミーパネルが1枚の値段ではないかと設計士の方が言われます。
すべてかかった料金なのでしょうか?お教えいただくと幸いです。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます^^
こちらの記事でも軒を伸ばせた経過について、少し触れています(既にご覧いただいていたらすみません)。
要は何度も変更依頼を上げる中で、ダミーパネルの設置を依頼した上で軒を伸ばすよう依頼したところ、現在の配置に落ち着いたという経過です。
我が家も当初から規定以上に軒を伸ばす場合は別料金と言われていましたが、結果的に『ダミーパネルの価格のみ』で両側の軒が伸びています。
ちなみに着手承諾書内では『屋根特殊施工(ダミーパネル)一式24,700円』という記載です。着手承諾書内のオプション価格リストを見ても、他に屋根関連のオプション料金は取られていません。
ダミーパネルにより軒が伸びるか否かは、既に提案されている屋根面積と発電出力が関係していると思います。感覚的には、『発電出力が多少増減しても構わない』ということを伝えた上で、ダミーパネル設置+軒を伸ばすという依頼をかければ良さそうかなと思います。我が家も4~5回ほど屋根の配置を変更してもらった結果、運よく今の形に落ち着いています。
が、ケースバイケースかと思いますので、希望が叶わなければ申し訳ありません。一条工務店さんの内部ルールの詳細が分からないため具体的アドバイスが出来ず、恐縮です^^;
ご回答ありがとうございます。
とても参考になりました。私も設計士の方と相談してみたいと思います。
営業の方は家の大きさによるのではないかと言っていましたが、
正直割り付けのルールみたいなのがあるようなないような。。。
フィリピンでうまく割り付けができればいいみたいですね。
明確にルールを教えてくれたら施主側も設計士さんも苦労せずに済むんですけどねー^^;
上手く割り付けてもらえるように祈ります^^
初めまして、グラン・セゾンで建築中の者です。うちも軒出しに同じような過程を踏みました。勝手に親近感を感じております。最後は家の配置を2cmずらして成し遂げた次第です。途中、屋根の勾配を変えたり、太陽光パネルの向きを変えたりして、こんなに苦労するとは思いませんでした。
家の配置や屋根勾配、太陽光パネルの向きまでとは、かなり色々と試されたんですね!
パネルの向きを変えると割付も確かに変えざるを得ないので、軒出しに行き詰まったら良い方法になりそうですね。
情報提供、ありがとうございます^^